日々のあれこれ時々、地盤塾。

地盤塾主宰者の千葉由美子が、日々の中で良いと思ったことや気付いたこと、地盤塾の様子などを綴っています。どんなことに気を留めて、どんなことを考えているのか、知ってもらえたら嬉しいです。

南越谷 地盤塾プレセミナー・相談会  S造3階建て一部平屋の地盤補強

昨日(26日)は日建学院南越谷校で地盤塾プレセミナーを行いました。本日は後方から皆様の様子を見させていただきました。(^^)

 

セミナーを通して全体的に熱量を感じられました。地形を読む必要性、土地条件図や旧版地形図、航空写真、ハザードマップの説明も、熱心に聞いていらっしゃる方が多かったです。興味を持っていただいてとても嬉しかったです。

 

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その中で、スマホ土地条件図を見ながら一心不乱に何かを確認している方がいらっしゃいました。

 

実物件があるのかな?と思っていましたが、まさにその通りでした。謎がセミナー後に分かります。

 

地図の説明が終わり、地盤判定を誤ると建物にどんな事故・被害が起こるか、の話になると、更にみなさん前のめりです。

各地盤補強工法の特徴や施工方法になるとより一層熱が上がるのを感じます。

 

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土地条件図で何かを確認していた方もメモを取ったり頷いたりされています。

 

これは、実物件で補強工法の選定に悩んでいるのかな・・?

 

セミナーが終わると、恒例の地盤相談会です。土地条件図を確認していた方が真っ先に曽根氏に相談されていました。

 

タイトルの通り、S造3階建ての地盤補強の方法で悩んでいるとのことです。S造の独立基礎なので接地圧は50kN/㎡と重めで、しかも・・・

 

地表から軟弱地盤が続き、支持層が30m過ぎまでない!

 

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(※イメージの柱状図です。実際の現場のデータではありません)

ですよね、この地域は・・・。

セミナーには会場周辺地でお仕事をされている方たちが集まっているので、越谷・草加・川口など低地の軟弱層の厚さは皆様よくご存じです。

 

ただ、今回は建物が重いので中間層で止めるような補強工法は選択できません。しかも、液状化対策の効果も見込みたいというご希望もあります。すると、

鋼管杭を堅固層まで打つ

ということになります。想像通り高額になりまして、何か策はないかというご相談でした。

 

まず、本当に支持層が30m以深なのか。

 

杭の長さ(数量)は気になりますよね。

近隣ボーリングデータは同じ地形のものを見なければなりません。

計画地の地形を確認するために土地条件図を熱心に見ていらっしゃったようです。

 

そうですね、支持層はかなり深くなりそうです。

 

次に、施工費を抑える手立てはないのか。

 

この計画は、S造3階建て。しかし、エキスパンションジョイントで一部平屋がくっついています。

 

この平屋部分を耐圧版にして表層もしくは中間層までの補強ができないか、というご質問をいただきました。

 

さすがです!さすがの基礎計画です!

 

エキスパンションジョイントで繋いであると、3階建てと平屋の基礎の縁は切れています。

つまり、別々の建物と考えられるので異種基礎にはなりません。ですから、

 

3階建ては鋼管杭、平屋部分は柱状改良もしくはその他工法でも可能。ということになります。

 

平屋部分を耐圧版にし接地圧が軽くなれば、シート系の採用も可能になります。

 

あとは、液状化対策も見込みたいということでしたし、建物が重いことも考えると、敷地内で標準貫入試験と室内試験を行うことが望まれます。

 

調査箇所は、地形が平坦地であることが確認でき、地層は水平堆積と推察できますので、敷地中央1箇所で十分と思われます。

 

大きな建物になると急に地盤に不安を覚えますよね。

でも、軽いと思っている木造2階建てでも地盤の事故は起きています。

 

建物の重さを正確に把握し、的確な地盤判断と基礎設計を行う必要があります。

 

次回の地盤塾プレセミナーは

3月28日(木)大宮です!

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